[初級編] 1-2-2. HDVカメラの初歩知識
HDV規格は、従来のDVテープ上に、HDビデオを記録するための規格です。HDV規格を眺めながら、また、DV規格と比較しながら、ポイントを解説してゆきます。
HDVカメラとは...
2003年に登場したHDVカメラは、家庭用ビデオカメラとしては始めて、HDビデオを収録できる製品として登場しました。ソニー社、キヤノン社は、HDV
1080i(1440×1080/60i)を、日本ビクター社は、HDV 720p(1280×720/30p)を採用しています。
パナソニック社は、HDVカメラ市場には参入しませんでした。
撮影したデータは、HDVテープ(mini DVテープカセットと同じもの)に収録するようになっています。
店頭では、AVCHDビデオカメラに押されて、コンシューマ市場では今や少数派ですが、ハイエンドアマチュア〜業務東都では、まだまだしぶとく生き残っています。
主流は、HDV 1080iです。HDVカメラをお持ちならば、おそらくHDV 1080iのはずです。ここ[初級編]での記述も、HDV1080iを念頭においております。
Macとの親和性
非Intel Macでも使用できます。AVCHDビデオカメラはIntel Macでしか使えませんので、HDビデオを非Intel
Macで編集する場合は、このHDVカメラが唯一の選択肢です。
Macで使用するには、お使いのMacにFireWire端子が搭載されている必要があります。最近のMacBookでは、FireWire非搭載モデルも登場しています。これらの機種では、HDVカメラを使用することができませんので、ご注意ください。
説明したとおり、HDV720pとHDV1080iの2方式がありますが、主流は、HDV 1080iですので、ここ[初級編]での記述も、特に断りのないかぎり、HDV1080iを念頭においたものです。
HDVテープ
店頭で購入する際には、"HDV対応"をうたったいわゆるHDVテープで、60分程度(メーカにより63分など若干のバリエーションあり)の製品を購入することをお勧めします。
ただし、いわゆるHDVテープも、実は、"HDV対応"をうたっていない普通のDVテープも、この記事で説明するとおり規格は同じものですので、代用可能です。すなわち、「HDVテープ」をDVカメラで使用することもできますし、その逆も可能です。また、例えば同一のDVテープ上に、DVとHDVを混在して収録することもできます。このテープをHDVカメラで再生しTVで見ると、HDVで撮影したシーンは高精細画質(HDビデオ)で、DVで撮影したシーンは通常画質(SDビデオ)で、それぞれ再生されます。
"HDV対応"をうたった製品をおすすめする理由は、念のため、です。元々、HDVの圧縮に用いられるMPEG2は、DVに比べるとエラー耐性が小さいのです。また、ある箇所でエラーが起きた場合、DVでは1フレームにしか影響しませんが、MPEG2ではエラーが前後15フレーム(GOP。約0.5秒)に影響することがありえるのです。"HDV対応"をうたった製品は、品質や耐久性が向上させてあるようなので、「念のため」を考慮すると、"HDV対応"をうたった製品をおすすめする次第です。
収録時間が60分のものをお勧めする理由も、「念のため」です。長時間収録するためには、テープ自体が薄っぺらくないと、カセットに入り切りません。テープが薄いということは、信頼性が低下する「かも」しれません。
メーカは、「信頼性はそのままに、テープを薄くすることに成功しました」等とうたっていますが...。
以上のことをご理解頂いた上ならば、「普通のDVテープ」を使用して頂いてもかまいません。また、海外で現地調達しようにも「HDVテープ」はまず見つかりませんが、普通のDVテープなら容易に入手できます。
DV/HDV混在収録に関しては、編集を考えると、MacDTV.comはお勧めしません。あくまでも、緊急避難的な使用にとどめることを強くお勧めします。
HDV1080iには、LPモードはありません
HDV 1080iには、LPモードはありません。
一方、HDV720pは、DV同様LPモードがあり、収録時間は標準(SP)モードの1.5倍にできます。
参考情報 [基本編]
HDVカメラの基礎知識 > 収録メディア
ビデオデータは、MPEG2 Videoで圧縮されている
もっとも一般的なものは、「フレームサイズ1440×1080、アスペクト比16:9、フレームレート30 fps、インターレース表示」です。おそらくお使いのHDVカメラもこれでしょう。HDV 1080/60iといいます。
これ以外の規格もあります。詳しくは、
参考情報 [基本編]
HDVカメラの基礎知識 > HDV規格のビデオデータ
このMPEG2 Video Codecは、空間圧縮(フレーム内圧縮)ではなく、時間圧縮(フレーム間圧縮)です。15フレームを単位として、前後フレームの相関を解析することで圧縮率を稼いでいます。この単位(15フレーム分)のことをGOP(Group of Picture)と呼びます。
GOP単位で圧縮処理するため、もし、一カ所エラーが起きた場合、運が悪いと、GOP単位で影響をうけることがあります。DVのように、フレーム内圧縮だったら、一カ所エラーが起きてもに影響が出るのはせいぜいそのフレームだけです。ですが、HDVの場合、運が悪いと、GOP全体、つまり15フレームに渡って影響が出ることがありえます。
[参考情報] 2005.07.26 ソニー、HDVをお使いのお客様へ重要なお知らせ@MacDTV.News
オーディオデータ
HDV 720p、HDV 1080iとも、MPEG-1 Audio Layer II(48kHz, 16bit)にて、ビットレートを384kbpsに抑えています。
参考情報 [基本編]
HDVカメラの基礎知識 > HDV規格のオーディオデータ
撮影日時データ、タイムコードなども記録される
HDVテープ上には、撮影日時データやタイムコードも、ビデオ・オーディオデータとともに、記録されています。
参考情報 [基本編] DV/HDVテープの撮影日時データやTimeCode
撮影日時データ
iMovieのイベントライブラリ機能は、この撮影日時をキーとして素材を管理するので、ビデオカメラの時刻は正確に合わせておきましょう。デジカメ写真とiPhotoの関係と同じですね。
海外旅行の際には、時差補正をしておくことをお勧めします。日本時間のままの設定だと、現地時間で同一日(朝から夜まで)に撮影したにもかかわらず、iMovie上でのイベント管理の際、(日本時間に従って処理するので)二日間にわたって分かれてしまうこともありますので。
タイムコード
タイムコードは、テープ冒頭を00:00:00;00とし、そこからの経過時間を記録するものです。「テープ上の絶対位置」を判断する重要な情報です。
iMovieには、TimeCodeを活用した機能はありませんので、TimeCodeを特に意識する必要はないのですが、それでも、(例えば、iMovieプロジェクトをFinal
Cut Express、Final Cut Proに持ってゆく、といった場合に不都合をさけるために)、ひとつだけ気をつけてください。それは、撮影時に無録画部を作らない、ということです。
一旦巻き戻したあと、撮影を再開する際には、無録画部を作らないように、記録画部にオーバーラップするようにします(こうなると、前回の撮影時には、最後のシーンは上書きされてもいいように、長めに撮影しておく必要があります)。あるいは、DVカメラに「エンドサーチ」機能がある場合には、これを活用しましょう。
「タイムコード先打ち」も効果的です。
Macとは、FireWire接続する
HDVテープ上には、MPEG2-TS(Transoport Stream)フォーマットで、ビデオ・オーディオ・その他情報が収録されています。
Macと接続する際には、HDVカメラの「iLINK端子」と、MacのFireWire端子とを接続します。
iLINK端子は、いわゆる「DV端子」と形状は同一です。
HDVカメラからHDV出力する際は、iLINK端子からは、MPEG2-TS信号が流れてきます。これをMacのFireWire端子で受けて、iMovieなどのDTV編集ソフトがMacのHDDに保存する処理を行うわけです。
ご参考
ちなみに、DVカメラでは、DV出力する際にiLINK端子から流れてくるのは、DVストリーム信号です。
多くのHDVカメラには、「HDV→DV変換」機能が搭載されています。
この機能は、HDVで撮影・収録してテープを再生・iLINK出力する際、(普通は、HDV(MPEG2-TS)出力しますが)、DV信号に変換して出力する機能です。「HDV→DV変換」機能を使用しているときは、HDVカメラのiLINK端子からは、(通常のMPEG2-TS信号ではなく)DVストリームが流れてきます。
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