日本ビクター社は、HDビデオカメラEverio
GZ-HD7を発表しました。3月発売予定。
HDD内蔵型ビデオカメラの草分け的存在であるものの、いまひとつ認知されていない(=取り立てて目立つところがない?)ビクターのEverioシリーズですが(失礼)、
今度のGZ-HD7はひと味もふた味も違います。
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初のフルHD 1080i対応
家庭用HDビデオカメラのフォーマットには、HDV1080iやAVCHDなどがありますが、どちらもフレームサイズは1440×1080(今のところ)
。本来のHD 1080iは、フレームサイズ1920×1080なので、HDV1080iにしてもAVCHDにしても、横方向に1.33倍(1440→1920)拡大して表示しています。
GZ-HD7の場合、FHDモードで、フルHD
1080i(1920×1080のインターレース)に対応しています。ビデオ1920×1440iのMPEG2-TS/オーディオMPEG-1
Layer2で、ビットレートは、VBR(Variable bit rate。可変ビットレート)で、Max.
約30Mbps、平均約26.6Mbps、とのこと。
スペック上からは、(MPEG2圧縮に由来する)画質は、HDV 1080i(25Mbps)よりはちょっとだけ悪目、と予想されます。
HDV
1080i(1440×1080)にくらべ、GZ-HD7のFHDモード(1920×1080)のフレームサイズは、1.33倍。つまり、HDV
1080iと同等の圧縮率だったら、GZ-HD7のFHDモードでは単純計算で約33.3Mbpsになるはず。
スペック上からの単純計算では、こう予想できます。まあ、もちろん実物を見て評価すべきであることはいうまでもありません。
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Mac対応
QuickTimeコンポーネント
for Everioが付属します。
Everioの場合、
(1) MPEG2-TSファイルをUSB経由でMacのHDDに持ってきて、それから
(2) iMovieやFinal Cut Express/Proで読み込む、
という手順になるようです。
おそらく、QuickTimeコンポーネント
for Everioとは、(2)の際のMPEG2-TS Codecとして働くのでしょう。
◎
iMovieの場合、
HDV1080i編集の際には、HDVデータを、Apple
Intermediate Codec(AIC)を使用した1440×1080サイズのQuickTimeムービーに変換してから、編集する仕組みになっています。
このような仕組み(Trans Coding)を取らなくてはならない理由のひとつは、通常のQuickTime環境下では、HDD上にMPEG2-TSファイルがあっても、直接読み込むことは出来ないからです(QuickTime
MPEG2再生コンポーネントをインストールしても不可)。
ところが、QuickTimeコンポーネント
for Everioを使うと、HDD上のMPEG2-TSファイルを読み込めるようになるのでしょう。それで、iMovieにMPEG2-TSファイルを読み込ませることができるようになる、と。
なおそれでも、iMovieは、フレームサイズ1920×1080のファイルが扱えないため、1440×1080にリサイズされるようです。となると、iMovieで編集するなら、撮影時にせっかくフルHD(1920×1080i)で録画しても意味無し、ということになってしまいますね(笑)。
(おそらく、Final Cut Express HDでも、同様でしょう)
◎
Final Cut Proの場合、
HDVへの対応は、iMovieやFinal
Cut Expressよりも進んでいて、native HDV編集に対応しています。native HDV編集のウリは、HDVキャプチャー時、Trans
Codingしないで済む(ので、画質的に有利)、という点にあります。
厳密に言うと、HDVのデータ形式であるMPEG2-TSを直接扱う訳ではなく、キャプチャー時にQuickTimeムービー形式に変換して読み込んでいます。変換するとはいっても、QuickTimeムービー風なデータの並び順に変えているといった程度であって、MPEG2伸張・再圧縮をしているわけではないので、画質劣化は全く起こりません。
また、HDVキャプチャーしたあとは、RTプレビューも効きますし、(エフェクトを掛けていないシーンでは)最終レンダリングも必要ありません。
QuickTimeコンポーネント
for Everioを使うと、MPEG2-TSファイルをそのまま読み込み、選択したプロジェクトにしたがって扱える、とのこと。
ただし、プレビュー時には、都度、レンダリングが必要、との断りがあるとおり、現在のFinal
Cut Pro 5.xで使用するかぎりにおいては、RTプレビューもできなそうだし、native HDV編集ほどには快適にできそうもありません。Final
Cut Pro 6なり、Everio用Final Cut Proプロジェクトファイルが配布されたら、話しは違ってくるのでしょうが。
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